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Wounded Mass - ss:14

四人目の適格者

 「ようこそ、クラブ・チルドレンへ」
 レイはトウジに向かって片手を差し出した。
 トウジは口を堅く結び、無言だった。
 後ろからシンジが肩を押した。「トウジ」
 「綾波…惣流、自分ら何のつもりや」
 トウジの声には信念がある、とレイは思った。このような非日常的な状況では本人の
隠された性格があらわになる。ふだんのトウジはもっとお調子者でぶっきらぼうで、
どちらかといえば女生徒からは人気がなかったが、今はそれが異性に対する内気な
性格を必要以上に糊塗する装いだったことがよくわかった。
 「トウジ、僕たちみんな、うれしいんだ。仲間がふえて」シンジは今度は両手で
トウジを前に押し出した。「新しい仲間がトウジだから特にうれしいんだ」
 トウジはシンジに抵抗して動こうとしなかった。「それとこれとは別問題や」
 「いいえ、別問題じゃない」レイはトウジに向かって歩み出た。「来て」
 トウジは横を向いた。すると、アスカと視線が合った。
 「まったくニッポン人っていうのはどうしてこう奥手でどうしようもないのかしらね」
アスカはあごを突きだした。「このアタシがお相手してあげようというのよ、もっと
よろこびなさいよ。ええっと、なんて言ったっけシンジ、す、すえ…
Der setzenbehaelter essen Sie nicht Schande des Mannes」
 「据え膳食わぬは男の恥ってね」
 「な、なんやとぉ」トウジはさらに首をひねり、さけんだ。「センセイ、こいつらと、
もう…」
 「トウジも、もうチルドレンなんだから」
 「何の話やっ、何でワシがチルドレンやったらこいつらとせならんねんっ」
 レイはトウジの眼前に立ってジャージのファスナーに手を当てた。
 トウジはそれに気づき顔を正面に向けた。
 「だいたい綾波、自分なんで平気なんや、愛のない男と…できるんか」
 レイは首をかしげた。「私、鈴原君のこときらいじゃないわ」
 「じ、自分そんなチルドレンやからみたいなわけわからん理由で体開くんか」
 レイは首を振り、トウジのファスナーをおろした。「わかち合うの」
 トウジははだけた上着のえりを両手で押さえた。「わ、わかち合うぅ」
 「そ、鈴原君と私、私と鈴原君、みんなと私、みんなと鈴原君、与え合うの」
 「な…何を」
 「やってみれば、分かるよ」シンジが後ろからトウジのズボンを下着ごとおろした。
「口で説明するより早いんだから」
 「せ、せんせいっ」トウジは真っ赤になって両手をおろし、前を隠した。
 レイはトウジの両肩に手を当て、上着をおろした。
 「ああっ…」
 アスカが椅子から立ち上がった。軽く足を開き、両手を腰に当てる。「もうっ、どうして
もっとしゃっきりできないの、これだからだめだっていうのよっ、うちの中学のオトコは」
 「な、なんやとぉ」トウジは目を剥いた。そして深呼吸すると、頭を下げて目を閉じ、
レイの両手に手をかけてそっと引き離すと上着から両手を抜き、うつむいてズボンと
下着をおろした。「ワシも男や、相手させてもらおうやないか」そして両足を広げ、
胸をはって腕を組んだ。「なんや、与え合うとかわかち合うとか訳の分からんこと
ばっかり言いおって」
 アスカの表情が変った。「まぁごりっぱな。つい比べちゃうわね、シンジと」
 レイはトウジの両頬を両手で軽くはさんだ。「鈴原君」そして、退路をシンジが
閉ざしていることを確かめ、トウジの唇に自分の唇を重ねた。
 「む、むむ」トウジは少し抵抗したがすぐにレイの差し入れた舌に応えた。
 レイは両手をトウジの頬から下におろし、首筋、両肩、両ひじをなでさすりながら
わきの下にいれ、背中を抱いた。
 トウジは両腕をもてあましたように両脇に下げていた。
 シンジはその両手を取り、レイの背中に回した。
 レイはトウジの両腕が自分の背中に回ったことに気づいた。
 トウジの両手はレイの背中で空気をつかんでいるらしかった。
 レイは構わずに差し入れた舌でトウジの舌や歯や歯ぐきを順番に刺激していった。
トウジの唇もシンジの唇と同じように暖かく柔らかかった。
 やがてレイは背中にトウジの冷たい両手を感じた。トウジのてのひらは汗で冷たく
なっていた。
 トウジの両手はレイの背中にそっと触れると、感電したように離れ、それから
もう一度ゆっくりと吸いつくようにレイの背中とふれあった。
 そして今度は離れなかった。
 トウジの両手はそれからゆっくりとレイの背中を動き始めた。レイの手の動きを
まねるようにして、おおむね円を描くような跡を残してレイの背中をなでまわし、今度は
その両手に力がはいってレイを抱き寄せた。
 レイはトウジの顔の向う側でシンジがうなずくのを見た。
 レイはトウジの腰を引き寄せ、自分は後ろに下がってトウジを案内して寝台に近づけた。
 トウジは抵抗せずについて来た。
 シンジはもう一度うなずくとアスカに顔をむけた。
 アスカもレイとトウジを見ながら何度か軽くうなずいた。そしてシンジと視線を
合わせた。
 シンジはトウジの退路をふさいでいたがもう大丈夫とアスカに歩み寄り、それでも
トウジから視線は放さないまま半身でアスカを抱き寄せ、片手をアスカの腰に片手を胸に
当てた。
 アスカはシンジに応えてシンジと唇を重ね、片手はシンジの背中からわきの下を回って
シンジの胸に伸び、片手はシンジ自身を捕らえた。
 レイはそろそろと後ずさって寝台まで来ると、トウジを誘導して寝台に横たわった。
 トウジはレイの上からかぶさるように身をゆだねた。
 レイはひざを開いて曲げ、その間にトウジを導いた。
 トウジはひじとひざをついてレイを見下ろした。
 「綾波、スマンな」
 「何を言うの」レイはトウジの背中に手を回して引き寄せ、両足でトウジのくるぶしを
捕らえた。
 トウジの胸がレイの胸に当たり、そのまま軽く押して離れようとした。レイは背中に
回した手に力を込めた。トウジの両胸がレイの胸に押しつけられ、乳頭が最初につぶれた。
両方の乳首から身体の奥にじん、としびれるような感覚が伝わってレイはため息をついた。
レイはトウジと目を合わせ、視線で誘った。
 「あ、綾波」トウジが目を伏せて言った。
 「なに」
 「胸…触れてええか」
 「ええ」
 トウジの右手がレイの乳房を柔らかく捕らえた。
 暖かい手だ、とレイは思った。すぐに触れられている乳房がじんじんとしびれて
考える余裕がなくなった。レイはトウジの背中の手を動かしてトウジにもっととせがんだ。
 トウジはレイの胸をそっとつかみ、りんかくを確かめるようになで回し、乳頭を
探り当てるとつまんでころがした。
 「あ…はぁ…」レイはあえいだ。
 トウジはさらに上を向いた乳房を腹のほうから持ち上げるようにつかんで軽くこねた。
 レイは口にたまったつばを飲み込んだ。下半身が潤っていた。ふとシンジに目をやると、
シンジはアスカをひざに乗せていた。軽く結合した精神が混ざりあっていて、レイは
自分のひざの上にアスカの尻の感触を感じているような気がした。しかしそれはもちろん
シンジの感情で、実際にレイのひざを刺激しているのはトウジだった。
 ふたりは古い方の椅子を寝台に向け、重なって座ってレイとトウジを眺めていた。
アスカはひざを大きく開いてシンジの上にまたがり、シンジは後ろからアスカに
挿入していた。そして、アスカは首を曲げてシンジと唇を合せたままでゆるく結合し、
特に動きもせずにのんびりとふたりの行為の進展に注目していた。シンジの片手は
アスカの胸を下から支え、指は乳頭をつまんでさすっていた。アスカの両手はだらりと
さがってシンジのふとももの外側をなでまわしていた。
 レイの目にもふたりは限りなく淫乱にみえた。同じように私達もまた同じように
もえ上がっているんだ、とレイは思った。その思いでレイはますます興奮し、全身が
熱くうずいて動悸がいっそう高くなった。何かしないといけないといううわずった気分が
先行し、レイは片手をトウジの腰に伸ばした。
 トウジはもちろんすでに臨戦態勢を整えていた。
 レイの指がトウジ自身を捕らえると、うるんだ先走りがレイの指を濡らした。
 トウジはひとつだけ荒く息をついた。
 レイは反対側の手でレイの胸を愛撫し続けているトウジの手をつかみ、自分の腰に
導いた。そして、トウジの指の感触をその敏感な部分に感じると、トウジの手を残して
さきほどまでトウジがもみ上げていた自分の胸に当てて刺激を続けた。
 トウジの指は新しい場所をあたえられてとまどったようにレイの秘所をなでまわした。
そしててのひらで包み込むように上から軽くおさえると、レイの愛液でぬめった場所を
ゆっくりとあてもなく何かを捜すように、身体の敏感な部分を執拗に刺激し続けた。
 「す…鈴原君…」レイは切なそうな声で鈴原を誘った。「来て」そして胸に当てていた
手を自らの腰に伸ばし、トウジ自身を包んだ。
 トウジはレイの腰から手を離し、両ひじでレイに体重をかけないように気づかいながら
レイと肌を合わせた。
 「綾波…」
 レイはだまってうなずくと、トウジを導いた。
 トウジは力任せにレイの内部に進入し、とまどったように動きを止めた。
 「こ…これ」
 「鈴原君、今私の中にいるわ」
 トウジはだまって唾を飲み込んだ。のどぼとけが大きく上下した。
 「腰、動かして」レイは催促した。
 トウジは黙って従った。ゆっくりした上下動がはじまり、その波に合わせてレイの
身体の中を快感の刺激が行き交った。
 レイはがまんできずに自らも腰を動かして合わせた。
 その瞬間トウジの全身がびくっと震えて動きが止った。
 「あーあ、もう終わりぃ。ったくなさけないんだから」アスカがうんざりした口調で
言った。
 「そんなことないわ」レイはかばうように言った。「鈴原君まだ元気だもの」
 「ファースト、ホントでしょうね」アスカはシンジの太ももに両手をついて腰を
引き上げた。「うっ」
 天井を向いたままのシンジを残してアスカは立ち上がり、寝台に向かった。
 「証拠を見せなさいよ、アタシが確かめてあげるわ」
 レイは腰を引いてトウジから離れた。
 トウジはそのままの姿勢で顔だけアスカに向け、斜め上目づかいにアスカを見上げた。
 「はん、見直したカモ」そして、汗と愛液でぬめった手で、同じように潤っている
トウジ自身をつかんだ。
 「惣流、痛いがなそんなん」
 発射直後でまだ神経が高ぶっているのだとレイは思った。セカンドももう少し気を
使ってあげればいいのに。
 「あ、ごめんなさい」アスカは口調だけはしおらしかったがそれは演技と全身で
主張していた。「さあ今度はアタシの番よ、ファーストなんかとは比べ物にならない
天国を味合せてあげるわよ感謝しなさい」
 そして、尻から寝台に登り、いざるように姿勢を変えてレイをわきに退けると、
両ひざをぴったり閉ざし、ひざから下を広げて座った。そして腰をひねりあらわな胸を
つき出し、両手をトウジに差し伸べた。
 「ほら、下がって」
 トウジはどぎまぎして従った。
 「それにしても…惣流、自分、初めての相手に抵抗ないんか」
 アスカは鼻にしわをよせて笑った。「はんっ、いったん決めたら、とことん
楽しまなくちゃうそでしょ、ほらほらもう少し下がって」
 トウジが後ずさるのに合わせてアスカは尻をずらせながら前に進み、トウジが
寝台から落ちそうになる所で動きを止めた。そして、トウジの両方のひじをつかむと、
一気に引き寄せて頬を合わせた。
 「人づかいの荒いやっちゃな」トウジはそれだけ言うのがやっとだった。そして、
今度はアスカと胸を合わせ、アスカが上半身を動かすのに合わせて自分も胸で
アスカの胸を刺激しながらアスカと唇を重ねた。
 レイはその光景を寝台に座ったまま眺めていたが、ふと気がついてシンジと視線を
交えた。
 シンジはやっと気づいてくれたというように微笑し、立ち上がってレイの方に
歩いてきた。アスカとの一戦は決着が付いておらず、臨戦体勢のままだった。
 レイは黙ってシンジが寝台の上のレイの前に足を組んで腰を下ろすのを待ち、
それから先程までアスカがしていたのと同じように背中をシンジの胸と合わせて
シンジの上に腰を下ろした。レイのひざの間からシンジ自身が顔をのぞかせていた。
レイは下を見下ろして片手でそっとなであげた。
 「綾波、がまんできないよ」シンジがレイの耳元でささやいた。
 レイはそのままの姿勢でだまってうなずくと、少し腰を持ち上げて姿勢を直し、
シンジを迎え入れようと腰を落とした。
 「あああああ」レイは声をあげた。まだトウジの疼きが残った体内があらためて
押し広げられ、馴れた快感の刺激が伝わった。
 アスカがトウジから唇を放して振り向いた。「ああら、もう後半戦なの。飛ばし
すぎないでね」
 四人全員がいっしょに達しないといけないとレイは思った。そして、だまって
うなずいた。
 トウジはそのふたりの会話が理解できない風だった。
 「なあ惣流」
 「な、なによ…」
 「ワシら、あの空母で初めて会った時から、こうなる運命やったんかな」
 「バカなこと言わないでっ、アタシは運命とかそういうもの、信じてないから」
 トウジは答えなかった。そして、視線を落とし、アスカの膨らみはじめた乳房を
見つめていたが、顔を下ろすと片方の乳房を口で捕らえ、含んで舌で嘗め回した。
 「ああん、スズハラ、あんた上手よ」アスカは笑いをこらえるような表情でトウジの
頭を抱いた。そして強く抱きしめてトウジが逃げられないようにして自分の胸に
ますます強く押しつけた。
 トウジは片手で空いた乳房をつかみ、下から持ち上げるようにしてこね上げた。
反対側の手はアスカの腰に延びひざを開かせようとした。
 「しょうがないわね」アスカは特に抵抗もせずに従ったが、ほんの少し開いただけで
それ以上は同意しなかった。「スズハラ、そこから手を入れてごらんなさいよ、
感じるから」
 トウジはアスカの太ももの、わずかに開いたすき間に手をさし入れ、そろそろと
腰に向かって進んだ。だんだんと幅が狭まると手に力がはいり、アスカの弾力のあって
汗でぬめった肌と格闘しなければならなかった。
 「ああ…」アスカは両方の胸を刺激されながら軽くうめいてひざをもう少し広げた。
 トウジはそれに合わせてひざの間の手と指を前進させた。そして、一番奥の潤った
三角地帯を探り当てると広がったひざの間に自分のひざをわり込ませてゆっくり広げて
いった。
 アスカはトウジの動きに合わせてひざを広げていき、上半身は情熱的にトウジの顔に
胸を押しつけて激しくこすりつけた。長い金髪が花びらのように踊り、汗が飛び散った。
 レイはシンジを自分の中に感じながらだんだんと高揚していく気分の中でアスカと
トウジの愛の営みを眺めた。
 これまで、アスカとシンジの同様の行為を何度も横から見ていたが、いつも一人だった。
 今はシンジとふたりでながめている、その体験は新鮮で、レイはこれまでになく
興奮していた。
 レイはシンジの腰の上でじっとしていたが、もしこれで動いたら、すぐにでも絶頂に
達してしまうような気がして、その思いでますます敏感になっていった。レイのひざを
折って座った姿勢では、両足はちょうどシンジの尻の両脇にあった。
 シンジの片手がレイの足にふれ、そのままつかんだ。
 足の裏がくすぐったく、レイは逃げようとしたがシンジは離さなかった。「碇君…」
レイは思わず言ったがその声は切なく響いた。
 シンジは指を伸ばしてレイの足の指の間に入れ、指のつけ根をもみ、こすり上げた。
 この刺激はまったく予想していなかったのでレイは全身をびくりとけいれんさせる
ほどの快感につつまれた。「ひいっ」
 シンジは反対側の手も伸ばしてレイの足をつかんだ。
 「碇君、それ…はあっ」
 レイは大きく頭をそらし、背中も弓なりにして胸を突きだした。両手はシンジの腕を
つかんだ。
 それでもシンジはレイの足の指の間から指を抜かず、執拗に指の間を刺激し続けた。
 レイは両足の先端から発するその刺激が波のように後から後から押し寄せてきて自分の
身体の中がぶるぶる震える神経で満たされてしまったような気がした。次の瞬間、「うっ」
レイはうめいて全身がけいれんし、シンジも力一杯締め上げたあと、今度は力が抜けて
しまった。
 レイはそれまでとは逆にうなだれて猫背になりそのままくずれ落ちそうになった。
 シンジはあわてて両手をレイの足から離し、わきの下から胸に回してレイを支え、
後ろに引いてそれ以上レイが倒れないようにした。
 「碇君…先にイっちゃった」
 「今度はいっしょに…ね」シンジはレイの耳元でささやいた。
 シンジ自身はレイの内部で少しも勢いを衰えさせていなかった。
 「ああーん」アスカのあまえたため息混じりの声が小さく流れた。
 レイは顔を上げた。
 今、アスカはちょうどトウジを受け入れた所で、ふたりは結合したままアスカに
引きずられるように寝台に倒れ込んでいった。
 アスカはトウジの頭を両腕で抱えたまま頭を寝台に押しつけ、あごを高く上げて顔を
左右に振っていた。
 トウジはアスカのひざを割って間にはいり、アスカに深々と打ち込んで腰を動かして
いた。
 アスカの両足はひざを折って大きく開き、片足はトウジの足の上に乗ってトウジを
おさえていた。そして、トウジの動きにあわせるようにかかとでトウジのふくらはぎを
こすり上げていた。
 アスカは目を開きレイを見た。「ファースト、この子いいわぁ、シンジと同じくらい
いいわ」
 レイはかがみこんでアスカと唇を重ねた。そして舌を差し入れ、強く吸い上げた。
 アスカも応え、片手をレイのあごに回して自分の首筋に導いた。
 レイは身を乗り出してアスカの首筋を舐め上げた。
 アスカもレイの肌に舌を這わせた。
 レイはアスカの顔から首筋に舌を伸ばすのにつれてシンジの腰から腰を浮かして
ひじとひざで身体を支える姿勢に移った。
 シンジもそれにつれて姿勢を変え、ひさをなかば折る姿勢で後ろからレイの尻を
捕らえた。
 レイは斜めにアスカの首筋を舐め、さらに進んでトウジの手のひらの上から反対側の
乳房に進んだ。
 この刺激に耐えかねてアスカはトウジの頭から手を離した。
 トウジはあごを上げて大きく深呼吸したが腰の動きは止めなかった。
 レイは眼前にトウジの顔を見、つとアスカから顔をあげてトウジに口付けした。
 トウジは初めてレイに気づいてレイの舌に返礼し、視線を上げてシンジを見た。
 シンジは困ったような顔で微笑した。
 レイはアスカからの執拗な舌の攻撃に負けず、あらためてアスカの乳房を口に含んで
舐め上げた。レイの唇はびくびくと動くアスカの乳頭からの刺激を敏感に受け止めて
潤った。レイはシンジとアスカから受ける快感をに全身の力が抜けていった。しかし、
このまま上体を弛緩させてしまうとアスカに負担が多すぎるのではないか、レイは
そんなことをなんとなく思い浮かべてひじで上半身を支えた。
 アスカはそんなことにおかまいなしに下からレイの乳房を責め続け、レイの背中に
両手を回して引き寄せた。そして、舌を這わせながら腹にむかって進んだ。
 レイは押し出されるようにしてアスカとトウジの結合部に近づきながらアスカの腹を
舐め、吸い上げた。汗でぬめった肌は少し乾いた舌に心地よかった。
 アスカはレイの身体の向きを変えさせようと押したり引っぱったりしたが、姿勢が
悪く力がはいらないのでうまくいかなかった。アスカはいらだったようにレイの腰を
押した。
 レイはその姿勢ではアスカがますますつらくなるだろうと思って斜めに
乗っていたのだがアスカの要求にしたがって片足を上げ、アスカにまたがった。
気をつけないとレイの腹でアスカの息がつまってしまう。レイはアスカの吐息を感じて
新しい刺激だと思った。
 アスカはおかまいなしに腰を振りたてながらレイの腹を舐め上げさらに下腹に向かって
進んだ。
 レイはその動きに合わせて前進し、今やトウジとの結合部が目の前に来ていた。
そして、アスカが先にレイの結合部にたどり着き、両方の太ももをぐいと引き下げたので、
レイは思わず腰を落として全体重をアスカにかけてしまった。シンジも追従して腰を下げ、
姿勢を変えた。
 アスカはレイとシンジの結合部を下から舐め上げた。いそがしく往復する
シンジ自身からレイの愛液に潤った結合部、そしてそれに続くもっと敏感な
会陰の内側まで舌を差し入れこじ開けて押しつけた。あふれだした愛液をアスカは
嬉々として口で受け止め喉を鳴らして飲み下した。食道を下る液体の刺激が
ぞっとするほどの快感を生んだ。
 レイは全身をびりびりと震わせた。シンジとの結合部がぎりぎりと閉まって
内側からは透明でねばりのない液体が溢れ出た。アスカの顔を汚してしまうと
レイは思った。しかし、アスカの舌の動きはますます激しくレイを攻めたて
もっともっととねだり、レイはその動きに身震いして反攻にでた。
 レイは自ら腰を使ってアスカのあごを一段と開かせた。そしてアスカの反応を
確かめてから両手をアスカとトウジの結合部に添え、軽く両側に開いた。
真っ白な皮膚が割れて真っ赤に充血した結合部があらわになった。
レイは規則的に出入りするトウジ自身とアスカを眺めた。アスカはひくひくと
こまかく震えながらトウジを貪欲にくわえ込んでいた。見る間に愛液があふれて
したたった。レイはそのしたたりをそっと舐めとった。それから舌をゆっくりと
這わせて移動し、真っ赤な皮膜に包まれて隠された一番敏感な部分に向かって
舌をすすめた。
 アスカはこれに激しく反応して腰を前後に震わせたが、それでも口に押しつけられた
レイに対してなおいっそう舌をまわし歯でこすり上げ、ぬめりを舐めとり、両手で
内側からこすり上げた。
 レイはもう下半身全体がしびれてしまって、シンジの存在もアスカの舌も混ざり合い、
どこがどう責められて刺激されているのかわからなくなっていた。ただ快感をむさぼる
器官が全開でその刺激を受け入れ、そのままの刺激を全身に運んで興奮させていた。
レイはその快感のいくらかでも共有しようとアスカに舌を伸ばした。
 ついに興奮で充血して大きく勃起したアスカの急所にたどり着いたレイは周囲の
皮膚を舌と歯と唇でどかしていき、すっかりむき出しにした。レイはふと舌の動きを
止めると、指でまわりの皮膚をおさえて露出させたままにし、ふっと息を吹きかけた。
 アスカの全身が電撃を浴びたようにけいれんした。レイをねぶる舌の動きが止り、
そのけいれんだけが舌を通して伝わってきた。
 まだ早いわよとレイはもうろうとしながら思った。鈴原君がまだ達していないのに、
あなただけ先に行ってどうするの。でも私も…
 後ろからのシンジの突き上げが単調でレイは物足りなかったが口を放して振り向くと
仰天した。
 レイの頭上でシンジがトウジのあごを片手で捕らえ、唇を重ねていた。口の動きから
互いに舌を入れているのが分かった。
 レイはしばらく惚けたようにふたりを見ていたがやがてそれも新しい刺激になって
快感をいっそう高めているのに気づいた。新鮮な光景が視角さえ快感に変えるのだ。
レイは頭を下ろしてアスカとトウジの結合部をまじまじと見つめ、舌を伸ばして参加した。
 今度は上下動をくりかえしているトウジとの接合部に目標を決めた。そして舌を
伸ばすかわりに唇を突きだし首を曲げて、二人の接合部をまとめてせめて一部だけでもと
くわえ込んだ。レイの唇がトウジに摩擦され、トウジの熱い昂ぶりがびくびくと
伝わってきた。溢れ出るアスカの愛液が唇を濡らした。レイはこの新しい体験に全身が
性感帯になってしまったような気がした。短く早い呼吸も瞬間的なまばたきも
交合部から生じる擦過音も何もかもが心地よく響き、レイはシンジを求めて腰を動かし、
アスカの唇を求めてまた腰を動かした。もう自分が何をしているのかも
よくわからないまま後ろからは突き上げられ舌からは舐め上げられ自らはくわえ込み
嘗め回していた。アスカの下腹部に押しつけられた両方の胸が熱く火照って心臓が
今にも飛び出しそうだった。 トウジの腰の動きがいっそう早まり単調になった。
 レイは自らの腰の動きを激しくしてシンジを攻めたてた。あふれる愛液がしたたり、
アスカの顔を濡らした。レイの口を通過するトウジが一段と固く大きくなりびくりと
けいれんした。レイの頭の中が真っ白になった。頭の中で巨大な火球が音もなく
爆発した。
 トウジの固い心の殻がレイには見えた。レイが殻にふれると、殻は小石の衝突した
ガラスのように粉々にくだけ散った。見通しのきくトウジの精神空間にはレイのほかに
アスカもシンジもいた。
 三人は精神的に手を取り合ってトウジの心に接触した。
 人格の記録を取らせてもらいます。この記録の段階で4096人に一人の割合で事故が
発生し、精神失調や重篤な場合は死に致ることもあるということをご本人と親権者である
父上に了解してもらいました。あとはあなたの決断だけよ、十分に考えて答えをください。
わかりました…ちゃんとした治療を受けさせてもらえるんですね。はい、これまでにも増
して完全看護体勢とし、必要なら転院も検討します。ありがとうございます、受けさせて
いただきます。ではここに署名を。ありがとう、では明日、妹さんの人格記録を採取しま
す。同時にあなたには松本に行ってもらうわ。そこで起動試験を行います。その、採取に
は立ち会えんのですか。残念だけど、とても微妙で精緻な作業が必要になるから、もし待
ってもらうとしても外の廊下になるし、あなたにもスケジュールがあるから。はい…な、
何故、どうしてなのトウジ君起動実験は成功したのよ信じられないその後で暴走するなん
てはっまさかアンビリカブルケーブル抜去内部電源起動S2機関起動そんな莫迦なS2機
関は凍結してあるはずどうして何もかもが予定とちがうの何が起きているのそれはだめそ
れにさわっちゃだめ発電機よ短絡したら停電するだけじゃすまない止って止って止って止
ってだめえええええっミサトさんっ止めてくれぇ誰でもええワシをエヴァを止めてくれぇ
なんちうことをなんちうことをしてまったんやワシはあああああ、エヴァ、やってくれる
んか、止めてくれるんか、この機体を壊して二度と動けんようにしてくれたのむ後生や、
ワシはどうなっても構わんああせめてこの機体の動きを少しでも止められたらのぉ…うわ
ぁぁぁぁぁぁぁ何や何があったんや何も見えん
 「な、なんなんやこれはっ」トウジは叫んだが声にはならなかった。
 「これであなたも私達と同じ、心をわかち合う仲間」レイは言った。
 「いい、このカンジ、忘れちゃだめよ」
 「トウジ、心が通じるっていいものだろ」
 「あああああああ」アスカがレイから口を放して叫んだ。「いいいいいっ、往く往く、
いっちゃううううう」
 「はあっ」レイは大きくため息をついた。
 四人はしばらくの間、凍り付いたように動かなかった。
 レイの身体からゆっくり、ゆっくりと快感の残照が消えていき、やがて現実世界が
もどってきた。レイは頭を上げ、片手で前髪を直した。髪の先がトウジの腹をなでた。
 トウジはまだシンジと唇を合わせたままだったが、レイの身動きに気づいて目を開き、
口を開いてシンジから離れた。
 トウジは大きく息をついた。
 「たまげたわ」
 そしてレイに手を差しのべた。「早よどいたらんかい、潰れとるがな」
 レイの後ろでシンジがレイの腰に手を当て、自分自身をレイから退去させながら
持ち上げた。
 「あ…あん」レイは同時にその両方の刺激を受けて思わずうめいた。そして、
少しどぎまぎしながら片足を上げてアスカの身体から身をはがし、半回転してアスカと
並ぶ姿勢で寝台に足を投げ出して座った。
 シンジはアスカの頭の辺りに、床に足をおろして座った。
 トウジはアスカの腰に手を当て、ゆっくりと身を離し、アスカの足元の辺りに
シンジと並んで座った。
 アスカはまだ動かなかった。トウジがアスカから出て行くときも何の反応もなかった。
ひざと内腿を開いたまま、両手は力なく寝台に延び、汗びっしょりの胸は大きく上下し、
半開きの口もとは細かくけいれんしていて吐く息は短く、目は開いていたが焦点が
合っていなかった。
 「まだイっちゃったままだわ」レイは言った。
 「うらやましいの」シンジがいつもの調子で訊ねた。
 レイはだまって斜めにうなずいた。
 「それにしても、先生」トウジが口を開いた。
 その口調からレイとシンジは腰を伸ばした。
 「これは一体、どういうこっちゃ。なんで心が通い合うちう非科学的なことが
ワシらにはできるんやろ」
 「わからない」シンジは答えた。「ただ、これで使徒に負けないんじゃないか、っていう
希望が持てる気がするんだ」
 「完全に理解し合える兵士が操縦する兵器の軍団は、計算上の最大効率で行動できるわ」
レイは言った。「これで勝てなかったら、どんなエヴァにも勝ち目はない」
 トウジはうなずいた。「とりあえずは目先の利益を優先するちうことか、よし分かった」
そして立ち上がり、気をつけの姿勢で三人に頭を下げた。「これからも、よろしく」
 「アンタ頭に血が上ると見境なくなるから、注意してよね」アスカがものうげな口調で
言った。「シンジだって独断専行がめだってきてるし」
 「自分にだけは言われたない台詞やな」トウジはにやにやしながら答え、また寝台に
腰を下ろした。「気ぃつけるわ」
 トウジはふと首をかしげて三人を見た。
 「自分ら、ワシの知らん所でホンマいろんなことやっとったんやな」
 「僕たちだけじゃないよ、トウジ」
 「センセイ、なんのことや」
 シンジは視線を下げた。「ネルフだって秘密だらけだ。僕たちはエヴァについて全体の
情報の何分の一も知らさせていないよ、操縦方法ですら全部知らないんだ」
 「兵士が戦いの全貌を知る必要はない」レイは言った。「とはいえここまで秘密が多いと
疑心暗鬼になってしまうわ」
 アスカが言った。「この力はね、チルドレン以外の心も読めるのよ。だからアタシ達は
独自に情報収集しようとしてるワケ」
 「まぁた明かされる新知識か、もう。かなわんな」
 「トウジ、この力のことは絶対秘密だよ」
 「わかっとるがな、センセイ。ワシも男や絶対に口外したりはせん」
 「新しい機体、早く来るといいわね」レイは言った。
 四人は誰となしに天井を見上げた。あたかもその装飾された風景の向こう側に
トウジのための新しい機体が仁王立ちになっているかのように。





+続く+




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