紅き瞳は何を写す
第三話 女神の説得



「む〜〜・・・・・なんでこうなっちゃったんだろう?」
何処をどう間違えたのか、なぜか零号機に乗せられているレイは不機嫌そうに呟いた。
あの後、即座に作戦を実行しようとしたミサトによっていつの間にやら零号機に乗せられていた。
『レイちゃん?聞こえる?』
「はい、聞こえますよ」
『これから、LCLって言う液体を流し込むわ』
「えっ?あの・・・私はミサトさんと違って肺呼吸なんですけど・・・」
『それ、どういう意味よ!!・・・まぁいいわ、LCLを肺まで取り込めば呼吸は大丈夫よ』
「それ、本当ですか?」
レイはジト目でミサトを見つめ、全く信じちゃいなかった。
『本当よ、信じて、いいわよリツコ』
『マヤ、始めて』
『了解!エントリープラグ挿入!』
通信から作業の声が聞こえた
『プラグ固定終了!第一次接続開始』
『エントリープラグ注水』
レイの座るシートにオレンジ色の水の様な物が注ぎ込まれる。
「うっ、血の味がする・・・」
『ごめんなさい、でも必要なことなのよ、我慢してちょうだい』
無理やりレイをエヴァに乗せたミサトは流石に強くは言えず素直に謝罪した。
『A12精神回線接続』
『双方向回線オープン』
『シンクロ率、25%』
『起動完了』
『すごいわ、いけるわよミサト』
『良い?レイちゃん、作戦はこうよまず貴女が初号機の動きを誘導して、射出口の上まで引き寄せる
そして、後は私たちの方で何とかするわ』
「あの〜起動しなかったらどうするつもりだったんですか?」
『えっ・・・・私は動くと信じていたもの、結果オーライよん』
レイの画面からでも、リツコがこめかみを抑えて溜息をついているのが見えた。
「それに私、誘導なんて出来ませんよ?」
『大丈夫、大丈夫、勝手に零号機方へ向かってくるはずだから』
「だったら、私要らないんじゃ・・・」
『いいえ、レイ、この世界に要らない人間なんていないわ』
レイは溜息をつきそうになりながら、LCLの中だとつきたくてもつけない事に気がついた。
「ミサトさんがいると、小説の進めたい方向に無理やり進めても違和感ないからいいですね」
『ありがとう♪レイちゃん』
などとよく意味のわからない話がレイとミサトの間で繰り広げているうちに発射準備が整った。
『よろしいですね?』
ミサトはゲンドウの方を向き何やら確認を取っている。
『いかん』
『エヴァンゲリオン零号機、射出!!ってええ!?』
(どっちなの?)とレイが考えているといきなり体にGがかかり、声にならない悲鳴をあげていた。
『もう射出しちゃいました』
『葛城1尉、三ヶ月減俸』
ゲンドウは額に青筋を浮かべながら無情な一言を放った
『さらに命令違反で作戦終了後、独房三日間だな』
横にいた冬月が更に非情な一言を付け加えた。
『私のエビチュ〜』
ミサトは床でのの字を書いていた。
「はぁ〜大丈夫かなここ」
と不安の色を隠せないレイの一言はもちろん発令所の全員に聞こえ、ほぼ全員が心の中で同意した。
『レイちゃん、準備はいい?』
レイの一言によって復帰を果たしたミサトは出来るだけ凛々しく言い放った。
「は〜い」
失った威厳を取り戻すのは難しく、レイはふざけた返事をした。
『レイちゃん!!遊びじゃないのよ!!』
「大人って卑怯」
『何か言った!?』
「いいえ〜何にも〜って、キャ〜〜〜〜」
レイの悲鳴が発令所に響き渡る、思わずゲンドウは立ち上がる。
『初号機、零号機に接触』
『レイちゃん、逃げて!!』
(なんて無茶な・・・)
零号機は、初号機に押し倒される形になっており、逃げるのは困難だった。
しかも、歩いた事もないレイである。それは不可能といえた。
(もうダメ・・・)
『サードチルドレン、意識不明』
『え!!シッ・・シンクロ率上昇』





どこ・・・・・ここ・・・?
「ここは貴女の心の中、そして零号機の中」
貴女は・・・だれ・・・?
「私は貴女、でも違うヒト」
どういう・・・・意味・・?
「碇君を助けて、お願い」
えっ・・・碇君って・・・?
その瞬間、映像が頭の中に流れ込んでくる


『さよならなんて悲しい事言うなよ』


『笑えば、いいと思うよ』


『あの、ゴメン勝手に片付けちゃった』


『綾波!!ダメだよ!!あやなみイイィィィィィ』


これ・・・は・・?
「私の記憶、そして大切な思い出・・・」
ごめん・・・勝手に見ちゃった・・・
「どうして?私が見てほしかった・・」
そうなの・・・素敵なヒトね・・・碇君・・・
「ええ、優しいヒト」
でも、助けるって・・・
「お願い、碇君をたす・・け・・て」
泣いてるの・・・?
「これは・・・涙・・・?私、泣いて・・・いる・・の・・?」
ふぅ〜分かったわ、綾波さん、ここの碇君はこのレイちゃんに任せなさい
「あり・・・が・・とう・・」
でも、1つだけ条件があるわ
「なに?」
碇君は私が貰っちゃうわ
「ええ、かまわないわ」
えっいいの?
「私はこの世界のヒトではないもの」
そっか・・・よし、契約成立、それじゃあ碇君を助けに行きますか。
「ええ」
でも、どうやって・・・?
「初号機の中へ行くわ」
えっどうやって・・・?
「私の力を使えば可能なはずよ」
えっ、そっそう・・(なんとなく、納得できないけど・・・まいっか)・・?
「いくわ」
うん!!


二人の身体が光に包まれる


「着いたわ」
ここ・・・?
誰・・・?
私は綾波レイよ
あの時の・・・
あの時はありがとう
別に、命令だったから・・・
でも、助けてくれた
本当は助けたくなかった
えっ!!
僕は君が来ると用済み
何を言っているの?
きっと司令に捨てられる
なぜ、そんな事を言うの?お父さんはそんな事はしないわ
でも、僕はエヴァに乗るためだけに生まれてきた
私はそうは思わない
君は必要とされているもの
碇君も必要だわ
えっ!?
だって貴方がいなければ私はあの時で死んでいた
だから、それは・・・
だから、私はそのお礼をする、でもお礼をする為には貴方が必要だわ・・・違う?
そっそれは・・・
それに、必要がなくなったら捨てられるなんて誰に言われたの?
そっそれは・・・
それに、捨てられたら、私が拾ってあげる
えっ!?
だから、戻ってきて・・・恐れないで・・・私たちを、そして他人を
・・・・うん
ホント!?
・・・うん
良かった〜それじゃあ戻ろう!!
うん・・・
「良かった、ありがとう」
三人は光に包まれた・・・




あとがき

う〜ん、初顔合わせ・・・って言っていいのかな?
さて、次回は『なぜレイはサード?』やレイの過去についてお話します
さらに、レイは誰と住むかも分かります。あと零号機の中にいたレイちゃんの話は外伝を書く予定ですw
お楽しみに〜
続きが早く読みたいヒトはメールをお願いしますw



+続く+





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