紅き瞳は何を写す
第一話 使徒襲来



「ふぅ〜やっぱりだめか〜・・・」
繋がらない公衆電話の受話器を置きながら蒼銀の髪を持つ少女が呟いた。
その姿は神秘的で、瞳は紅く、透き通るような白い肌を持っていた。
「それにしても、この女の人父さんの何なんだろう」
少女は三年ぶりの父からの手紙に入っていた女性からの写真を見詰めていた。
その写真は妙齢の美女がかなりラフな格好で前屈みになっている写真だった。
しかもその写真には『ここに注目』と豊かな胸の谷間に矢印があった。
(女の私に、どうしろって言うのよ・・・)
確かに思春期の男子ならば思わず『ドキッ』としてしまう様な写真だったが、女性である彼女にとっては、更にまだまだ成長途中である胸を気にしている彼女にとっては嫌がらせに様に写って仕様が無いのである。もちろん、そんなつもりで送ったんじゃない事も、
自分がまだまだ成長途中な事も彼女はわかっていたが、なんとなくイラついていた。
(しかも、遅刻なんてサイッテ−)
そう彼女は二時間もの間ここで何もすることも無く待っていた。
(はぁ〜どうしよ〜あんまり日に当たっていると日焼けしちゃうのになぁ〜)
などと愚痴こぼしそうになるのを抑えながら俯いていると、地面が揺れ大きな音が鳴り響いた、少女は驚いて顔を上げると、今までビルの陰に隠れていて見えなかった巨大な生物が姿を見せた。
その姿は2足歩行をしている所から辛うじて人型に見えたが、それ以外は何をモデルにしたのか、全くわからない姿をしていた、全身真っ黒で仮面のような白い顔に、(顔と言っても、円に二つ黒い丸を書いたような、子供のラグガキを彷彿させる顔であった)肩当てのような物が両肩についているだけだった、それ以外に特徴を挙げるならば、紅い玉のようなものが、鳩尾辺りに付いていた。
その姿を確認した少女は恐ろしさで震えながら一言呟いた。
「かっ怪獣・・・?」
その瞬間、彼女の上空5mを何かが物凄いスピードで駆け抜けた。
少女は次から次へと起こる異常事態に混乱しながら、自分の上を駆け抜けたものを確認しようとした、それは・・・
「ミッミサイル!?」
少女は混乱のあまり頭を抱えて座り込んでしまった。
「もう・・・何が起こってるって言うのよ〜・・・もういや〜」
次の瞬間、怪物よって落された戦闘機の爆風が少女に向かって襲ってきた、もう死ぬ!・・・と少女は目をつぶりその瞬間に備えた、しかしいつまで経っても衝撃が襲ってこないので、恐る恐る目を開けると、そこには青いルノーが少女と爆風の間に立ちはだかっていた。
車のドアが開かれ写真の美女が叫んだ
「何ぐずぐずしてるの!早く乗りなさい!!」
「は、はい!」
少女は慌てて車に乗り込んだ。
「しっかり捕まってなさい!」
女性はそう言うといきなり車を発進させた。
「キャッ!!」
少女はびっくりしてシートにつかまった。
「貴女が綾波レイさんね?」
「はっ・・・はい」
少女・綾波レイは訳が分からぬ状況に混乱しながら答えた。
「あたし、葛城ミサトよろしく」
「はっはい・・・あの葛城さん・・・」
「ミサトでいいわよ♪」
「はっはぁ・・・ミサトさん、あれはなんですか?」
「あれはね、使徒よ」
ミサトは少し眉間に皺を寄せながら呟いた。
「使徒・・・ですか?」
「そう、正体不明の・・・そして、人類の敵よ」
レイはミサトの言葉に言い表せぬ不安を覚えながら、窓から顔を出しながら使徒を見詰めていた。
「あの〜諦めたんでしょうか?戦闘機が使徒でしたっけ?あれから離れていくんですけど・・・」
「な!まさか!!N2地雷使うつもり!?」
「N2?ってなんですか?」
「とにかく伏せて!!」
次の瞬間、激しい爆音と共に衝撃が車を襲った。
「きゃぁぁぁぁぁ・・・・」

「だっ大丈夫?・・・」
「はっ・・・はい、少し口の中がジャリジャリしますけど・・・」
「そうそれは良かった」
どうやら衝撃によって車が横転してしまったようで、レイの頭にはミサトの豊かなバストが乗せられていた。
「あの〜早く退いてもらえると嬉しいんですけど・・・」
「あっ、ごみんごみん」
ミサトは這う様にして車から出て行った、レイもそれに習い同じように車から出た。
ミサトは逆さまになった車を見て呆然としていた。
レイはどうしたのかと思い、話し掛けようとした。
「あの〜ミサ・・・」
「キーッ、まだローンが残ってるのに〜、服もボロボロ〜せっかく新調したのに〜」
(話し掛けずらいなぁ〜・・・)
ミサトは、はぁ〜と深く溜息をついた後、気を取り直したようで明るい声でレイに向かって言った。
「レイちゃ〜ん、悪いんだけど、車起こすの手伝ってくれないかなぁ〜」
「はっはい・・・わかりました」
しかし、二人で力を合わせても、中々起き上がらない為困り果てていると、
いきなり上空から影が伸びてきた、ふとレイが上を見上げてみると、
「きゃぁぁぁぁぁ・・・・」
紫の腕がこちらへ伸びていた、しかも顔を見てみると鋭い目付きに額らしき場所からは角が生えていてその姿は正に・・・
(鬼・・・?紫の・・・鬼?赤でも青でもなくて紫の鬼?)
などとレイが脳内で連想ゲームを繰り広げていると、紫の鬼は車へ手を伸ばしひっくり返してくれた。
(えっ!!鬼が親切?味方なの?でも・・・)
「シンジく〜ん、ありがとう〜」
「えっ!!あの鬼、シンジって名前なんですか?っていうか知り合いなんですか?」
普通に鬼に対してお礼を言うミサトに驚きレイは尋ねた。
「あっはははは・・・、何言ってるのよ、あれは『エヴァンゲリオン初号機』って言う私たちの切り札、それに『シンジ君』はあれのパイロットなのよ」
ミサトは混乱しているレイに簡単に説明した。
レイも納得した様でエヴァンゲリオンを見上げていた。
「葛城1尉早く行ってくださ・・・」
エヴァンゲリオンから聞こえてきた、同世代の男の子にしては高く無感情な声は途中で途切れた。
その理由は一目瞭然、使徒に横から襲われたのである。
それを見たミサトとレイは大急ぎで車に乗り込み、走り去った。
「くぅぅ、このぉぉぉ」
状況は芳しくない、圧倒的不利だ。左腕はさっき使えなくなった、しかも今、頭を持ち上げられている、しかも片手で。
負ける?僕が?用なし?さっきの葛城1尉と一緒に居た女子は僕の代わり?捨てられる?
嫌だ、捨てられたくない、司令に捨てられる?
でも・・・勝てない・・・
カテナイ?
ステラレル?
ヨウナシ?
ボクノカワリ?
ボクノカワリ・・・
カワリ・・・
カワリ
カワリ
「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その瞬間少年は意識を手放した。




その頃ミサトとレイは目的地へと到着していた。
「ここは・・・?」
「ジオ・フロント、そして人類最後の砦よ!」
高らかに言うミサトにレイは苦笑いしながら「はははっはあ・・・そうですか」
とだけ答えた。
「あれっ?レイちゃん?IDカードは?」
「えっ、IDカード?」
「そう、手紙に入ってなかった?」
焦り気味にレイに詰め寄った。
「え〜と・・・あっ!!ありました」
「ほぉ〜良かった〜」
レイとミサトはIDカードを使いゲートの中に入っていった。
ゲートを通ると、そこには金髪に黒眉の白衣を着た美人が立っていた。
「葛城1尉、遅かったわね」
「あ、ら、リツコ」
 てへへとミサトは頭を掻く。
「全く、人手もなければ、時間もないのよ」
「ごみんごみん」
(結構キツイ感じの人だけど、ミサトさんと仲良さそう、友達なのかな?)
「で、この娘がサードチルドレン?」
「どっどうも、綾波レイです」
「はじめまして、私はネルフ技術1課・E計画担当博士、赤木リツコよ、よろしくね」
挨拶もそこそこに、リツコは身を翻しこう言った
「さて、2人ともこっちに来て、レイさんお父さんに会わせる前に見せたいものがあるわ」



「ここよ、着いたわ」
エレベーターが止まり扉が開かれる。
「真っ暗ですよ?」
レイは不思議に思い呟く、
「ごめんなさい、今照明を点けるわ」
そうリツコが言うと急に明るくなった、そして目の前にはあの鬼に似た黄色いエヴァンゲリオンがあった。しかし、その黄色いエヴァンゲリオンには角はなくツルリとしていて、あの鋭い目はなくて、丸い一つ目のようだった
「これって・・・さっき助けてくれた・・・」
「いえ、これは貴方達を助けた初号機ではなく、零号機よ」
レイの呟きに律儀にリツコが答えた。
「これも父さんの仕事ですか?」
「そうだ」
レイの父親 ゲンドウが答えた。




あとがき

どうもBARONです初作品です、
あとがきって何書いたらいいんでしょう?中々困りますww
とりあえずLRSです!!これは間違いありません!!
感想などありましたらよろしくお願いします



+続く+





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